【商店街には】ウマ娘プリティーダービーSeason3感想【レクイエムを】

 

はじめに

前提として自分はウマ娘のアプリが始まってからG1だけテレビで見てるくらいの人間なので、史実の競馬要素については特に考慮に入れません。

全体的な評価としては及第点くらいのクオリティはあると思います。少なくとも一つのアニメ作品としては問題なく成立していました。

ウマ娘にはどちらかというと萌え要素を期待しているクチなので、文化祭(聖蹄祭?)的な話とキタサトの電車旅行の話は特にうれしかったです。

ピークアウトの描写もキタサンブラックでそれをやるべきかという議論はあるでしょうが、三本目のアニメシリーズでこれまでやらなかった要素として「競走馬の引退」をテーマにすること自体は悪くない選択だったと思います。

ただ、あまり見ていて気持ちのいいテーマではなかったですし、よっぽどうまく扱わないと面白くするのは難しいテーマだったので、結果論ですがやめとけばよかったんじゃないのという気持ちではいます。

このテーマで行こうと決めたのはウマ娘というコンテンツ自体も(初動がおかしかったので仕方ないとはいえ)、ピークアウトしているということが背景にあるのかなと邪推してしまい、ユーザーとしてはとても悲しいです。せめてピークアウトという事実を肯定的に受け止められるような話になっていれば救いがあったのですが、話としてあまり面白くなかったのでそういう風には受け取れませんでした。

というわけでこれから面白くなかったポイントを羅列していくというかそのための感想記事になります。

不満の大部分:商店街モブ

まず一番気に入らないポイントが尺のバランス配分について、というよりも商店街の中年どもに割く時間が多すぎるという点です。

中盤辺りではナイスネイチャの出番の多さが気になっていましたが、今思えばかわいいレベルでした。というかナイスネイチャはかわいいので多少贔屓されても許せるのです。

一方で商店街のメンツはどうでしょうか。絵面も話す内容も毒にも薬にもならない正真正銘のモブでした。コメディ要因として見てみても「どうした急に」の青年たちのような名言や印象に残るようなセリフも特に残していません。強いて言えば視聴者にツッコミをゆだねたさりげないモノボケや名前ネタがあるくらいですが、大した成果とは言えません。

最小限の出番で一流の一発ギャグを披露したサウンズオブアースさんを見習ってほしいものです。(余談ですが、サウンズオブアースはサポカを2天井して1枚しか素引きできず、結局虹結晶を消費して3凸で使用しているので個人的な恨みがあります。しかし彼女の似非バイオリニスト芸には確かに爆笑させてもらいました)

そんなおじさんたちですが、驚いたことに思い入れのあるスピカメンバーよりも出番があるんじゃないかというくらいことあるごとに出てきます。みんな大好きダイワスカーレットよりも商店街のモブの出番が優先されるという事実、悔しいにも程があります。

実際キタサンの話でダイワスカーレットとかに役割を持たせるのは難しいうえに、3期はOPがスピカメンバーではなくなっていることから、物語の比重が少なくなっていることは理解できます。

かといって代わりにOPを担当したキタサン世代の子たちも出番には恵まれなかった印象があります。一流ギャガーサウンズオブアースさんはともかく、海外G1に加えてキタサンブラックにもG1で勝利したのに目立った出番がなかったサトノクラウンはあまりにも不憫でした。

商店街のメンツを消せば彼女たちの掘り下げが増えていたと思うと、己の手を汚してでも消し去りたいです。

商店街の存在意義について

まあ彼らにも役割があったことは理解できます。特に理由もなく縁もゆかりもないオッサンを捻じ込むような気狂いが日本にいると思ったら、恐ろしくて夜も眠れません。

聞きかじりですが、キタサンブラック号は「みんなの愛馬」と呼ばれるほどファンに愛された名馬であり、その背景にはオーナーが演歌歌手の北島三郎氏であることと血統的にそこまで恵まれない庶民派であったことがあったそうです。

察するに多くのファンの中でも象徴的な存在を作りたくて、庶民派=商店街という発想による采配なのだろうと思います。この采配自体はあまり文句のつけようがないのですが、マジで何の面白みもない一般人の中年が美少女アニメ作品で歓迎される謂れは基本的にありません。

象徴的なファンとしては既に「どうした急に」のみなみとますおがいるのですが、商店街のモブはなぜ彼らになれなかったのでしょうか。

ドラマ上の役割を作ってこれ以上出番が増えても困るので、やはりサウンズオブアースさんを見習って何かしらの持ちギャグを作っておくべきだったのでしょう。庶民が持ちギャグを持っていても何ら問題はないと思います。

いっそ現役のみなみとますおにその役割を担わせても良かった気はしますが、彼らは後方で腕を組んで解説だけしているのが似合っています。彼らを変に擦って悪目立ちさせなかったところは3期で評価できるポイントの一つだと思っています。

商店街の愛馬

しかし、庶民派を意識して商店街モブを擦りすぎた結果、アニメ版のキタサンブラックは「みんなの愛馬」というよりは「商店街の愛馬」みたいな印象になってしまいました。

これに関しては私が商店街モブを目の敵にし過ぎているという側面も間違いなくあると思うのですが、みんなの愛馬というくらいなら面識のある身内だけ特別扱いするのは良くないと思います。

現実の私も含めて大半のファンはTV越しに見ているだけだと思うのですが、彼らの存在が軽視されてるように感じてしまいます。商店街の描写はファンとアスリートのやり取りではなく、身内とアスリートのそれでした。

そもそもアプリユーザーとしては商店街と言えばそれこそネイチャ先生の出番だろと思ってしまいます。あまり記憶が定かでないので自信がありませんが、キタサンの育成ストーリーではそこまで商店街は目立ってなかった気がします。アニメでも最初のうちは同様に描かれていましたが、通りすがりの困ってる人を助けるみたいな印象でした。

別にアプリのストーリーと違うことは問題ありませんが、ネイチャ先生からそんなところまで継承しちゃったのかなと思ってしまいます。

商店街じゃなくてこうして欲しかったという話

それからこれは難しい話ではありますが、どうせなら庶民派の方ではなくオーナーの北島三郎氏の存在をストーリーに組み込んだほうが面白くなったのではないかなと思います。

現状では父さんと匂わされたり、最終回のウイニングライブで意味深な人が写ったりした程度ですが、素人目線ではキタサンブラック号は北島三郎氏のイメージが強いので、もう少し掘り下げても良かったのではないでしょうか。

流石にオーナーの北島三郎氏にまつわる描写であれば尺を持っていかれても文句は言えませんし、単純にネームバリューがあるので盛り上がると思います。

何なら音楽属性を持っているサウンズオブアースさんも絡めたストーリーが展開できたのではないでしょうか。

有馬記念のラストランで「まつり」を歌唱したことがウイニングライブの元ネタになったという説も聞くので、ウマ娘としてもやる意義は大きかったと思います。

私自身、アプリでのライブシーンのクオリティに惹かれてウマ娘を始めた人間なのですが、走った後にライブやらせたり、アスリートなのにライブの練習させたりするのはあまり良くないのではないかという疑念は未だに払拭できていません。

ウマ娘はそういう生き物だから!、というのが通説ではありますが、ポケモンバトルさせるのはポケモンも望んでるから!というのと同じくらい厳しい言い訳だなと感じます。まあポケモンは大丈夫だから大丈夫だとは思うのですが、ライブ大好きなので掘り下げがあるのならいくらでも欲しいです。

商店街レクイエム

皮肉なことに商店街のモブに対するヘイトを吐き出すだけで感想の尺の大部分を使ってしまいましたが、逆に考えればアニメの良くなかった部分の大半の不満を吸い取ってくれたという点では有能な存在と言えるでしょう。やはり何の恨みもないかわいいウマ娘のことを悪いように言うのは気が引けますが、アニメで急に生えてきたオッサンやオバハンに文句を言う分にはあまり心が痛みません。中盤のころはネイチャ先生が出る度にちょっともやもやした気持ちになり、心が痛かったです。今は遠慮なく商店街を叩いておけばいいので、健やかな気分です。もはや商店街レクイエムです。

商店街以外の不満

商店街以外の不満①:「誰~!?」

言いたいことは大体言ってしまいましたが、せっかくなのでもう少し話すことにします。物議を醸した5話での「誰~!?」発言についてです。

宝塚記念でキタサンもドゥラメンテも勝てなかった理由付けとしての表現であることは理解できますが、だとしたらちゃんと反省するべきです。

一緒に負けた直後ですらドゥラメンテしか見えていないのはちょっとどうかと思いましたし、その後も特にフォローなしです。あの描写では本当に負けた理由にしかなっていないので、あまり面白いものではありませんでした。

あとあの描写がドゥラメンテに対して執着し過ぎた結果、一時的にそういう反応をしてしまったということならまだいいのですが、アニメのキタサンブラックを見ていると、割と普段からそういう反応をしそうな子に思えてしまいます。

周りが見えていないというか、世界観が自分の身の回りで閉じてしまっているように一貫して感じました。先述した商店街のおじさんたちなんてそれの極致みたいな存在ですね。

アニメの描写だとキタサンブラックがマークしてなかった対戦相手にその場で「誰~!?」って言いながら負けても正直違和感はないです。

しかし自分がそれをやられたらと思うと、普通にムカつきます。というかキタサン本人がドゥラメンテにムカついてました。

これを機に改善されたということならいいのですが、何ならこれ以降商店街の出番が悪目立ちして身内感が加速していくので、不安です。

まあただのギャグ描写として流すべきでしょうね。

商店街以外の不満②:特訓回

5話から特に物議を醸し出した気がするのですが、個人的には4話の特訓の方がどうかと思ってました。

キタサンブラックの特徴を考えるとミホノブルボンに習って特訓をするという流れ自体は真っ当なのですが、練習環境があまりに劣悪すぎます。

肉体に負荷を与えて鍛えるのと、ロクに休息の取れなそうな環境で練習し続けるのは違う話だと思います。いくらなんでも価値観が昭和すぎます。ミホノブルボンの時代なら通用したかもしれませんが、キタサンブラックの時代では厳しいと思いますし、アニメが放映されているのは令和です。

まあウマ娘はそういう生き物だし、実際キタサンは強くなっただろと言われたら何も言えませんが、せめてご飯くらい美味しいものか栄養にいいものをバランスよく食べてほしいと思うのは間違っているでしょうか。

飯炊き係のライスシャワーも謎です。マジで潔いくらいライスシャワーがやる意味がないですし、用意した食事もあまり質が良くなさそうなので、何なら役者不足です。コンビニにでも行けばもっとマシな食事がとれるだろうにと思います。

味気も栄養もなさそうな食事にロクに疲れが取れなそうなテント宿泊で、代り映えしないトレーニングメニューをほぼ他人みたいなメンバーで繰り返していれば、逃げ出すのも無理がなさすぎます。

まあただのギャグ描写として流すべきでしょうね。

商店街以外の不満③:新衣装

次に、最終話のキタサン新衣装についてです。そりゃ来るだろうなという感じではありましたが、何とも言えません。凱旋門サトノダイヤモンドと並べたら映えそうだなとは思います。

キタサンが走ってるのを一緒に練習するでもなくほぼ棒立ちで見てるだけだったチームスピカにようやく役割が生まれた形になりますが、もう遅いです。スピカに存在意義が無さ過ぎて叩かれたから急遽役割を用意したのかと思ってしまうほどでした。

もしかしたら製作陣はスピカメンバーは最後に役割があるから、途中は出番与えなくていいやみたいに考えていたのかもしれませんが、逆だと思います。最後に役割を持つキャラだからこそ、そこに至るまでの描写を積み上げてくれないと感動できません。

個人ではそこそこ出番を確立しているキャラもいましたが、チーム全体としては形だけ存在してるみたいな雰囲気でした。3期は他のキャラ優先して行きますということなら納得できましたが、あの扱いをしといて最後にエモ稼ぎに利用するのは筋が通っていないと思います。

ED曲を最初に聞いたときは、キタサンブラックもとうとうスピカ入りかと感慨深くなったものですが、13話見終わった今考えてもちょっと浮いてる気がします。まあこれは途中から加入した以上当然ではありますが、せっかくチームスピカに役割があるのなら、素直に喜べる形にしてほしかったと思います。

これだったら商店街のおじさんたちが作ったと言われる方がまだ納得できます。やっぱり無理です。商店街を叩ける口実が一つ増えていただけだったと思います。

商店街以外の不満④:ドリームトロフィーリーグ

ドリームトロフィーリーグとやらがやけに匂わされていたのですが、結局何なのかよくわかりませんでした。全盛期を過ぎたウマ娘たちによる興行メインのレースみたいなことなのでしょうか。

今後アプリの方で何かあるのかもしれませんが、匂わせるだけ匂わせてちゃんと説明してくれないのは気持ちが悪いです。

あとオルフェーヴルジェンティルドンナは最終回までには登場してくれると思ってました。早くビジュアルを見せてくれると嬉しいです。

以下雑記

OP曲についてです。放送当時はこれまでのOPと比べてパッとしないかなと思っていたのですが、アプリのライブで回してみると普通によかったです。

特にサビ前の「負けない」のセリフの部分がキャラクターの性格が現れててお気に入りです。

正直デフォルトのキタサンブラックの負けないが一番性格が出てない気がします。デフォルトだから抑えなきゃいけないみたいな縛りがあったのかもしれませんが、もっと元気あふれる負けないが聞きたかったです。

今聞くとデフォルトのはOPからして辛気臭い印象を受けます。あと素材はあるんだからシュヴァルグラン回の演出を他のウマ娘でもやったらいいのにって思いました。

そうなるとサウンズオブアースさんがかわいそうなことになりかねませんが。

 

それに付随してアプリ版のキタサン世代のやり取りをひやひやしながら見たのですが、すごくこういうのでいいんだよって感じで安心しました。

ドゥラメンテとかアニメ版では存在以外の魅力がわからなかったのですが、イベントストーリーをちょっと見ただけでかなり好きになりました。俺の好きなウマ娘を差し置いてフィギュア化とかやってるので内心気に入らない思いがあったのですが、これで成仏しました。

気になったのがキタサンの「ドゥラさん」呼びです。アプリとアニメで描写が違うことはよくあることではありますが、(同一人物かは定かではないですが)例の商店街モブらしき人が登場したり、スペシャルウィークの「ですね!」が再現されてたりすることを考えると、単なる連係ミスとも限りません。

私はこの一点の描写を根拠に、アプリとアニメのキタサンブラックを切り離して考えることにします。

 

レース描写に関しては、正直よくわからなかったので褒めることも叩くこともないです。ただ、スタート前のポーズがちょっと肩入れすぎじゃないかな、普通あんなポーズになるかなということが地味に気になってました。ケレン味優先で結構ですが、毎回のようにやられるとあれが正しいポーズだと認識してるのかなと思ってしまいます。

 

 

最後に、色々突っ込んだことを言いましたが、どれも話自体が面白く勢いがあるものであれば気にするまでもなかったものばかりだと思います。

特にアニメウマ娘のギャグ描写は、好意的に見れるときは微笑ましいものですが、そうでないときは結構鼻につくものが多いです。

なぜ勢いがなかったかというとはっきりしたことは言えませんが、やはり色々やろうとし過ぎたのだろうと思います。

特に萌えアニメとピークアウトは食い合わせが悪すぎると思います。そもそもウマ娘は時系列とか気にしだすとこいつら今何才なんだよみたいな問題が出てくるので、気にしちゃいけない墓穴を自分で掘り起こしてしまった気がします。

普通に考えても主人公が衰えていく展開は歓迎されませんし、よっぽどうまく扱わないと面白くならないテーマだったと思いますが、キタサン世代のウマ娘を描いて、スピカやカノープスのメンバーを描いて、隙あらばファンサービスも込めてその他のウマ娘もゲスト出演させて、おまけに商店街の庶民も出してとやっていては難しいテーマを扱っている余裕は無かったことでしょう。

キャラ紹介アニメとして割り切るか、ウマ娘のピークアウトによる引退を描くかのどちらかに絞ってほしかったなと思ってしまいます。

いずれにしろ商店街のくだりは必要なかったと思いますが。